『ナパーム弾の少女 五〇年の物語』 藤えりか 著 講談社2022☆☆☆☆余
あの、ベトナム戦争の有名な写真の少女。その後も生きていて、あの写真を撮った写真家とも交流が続いているそうです。著者が、写真の少女であるキム・フックさんや、あの写真を撮ったニック・ウトさんをはじめ、関係者に詳しくインタビューしてまとめた本です。
キム・フックさんの意思の強さや機転の良さ、運の強さ。ニック・ウドさんはAP通信の記者で、この写真でピューリッツア賞も受賞したけれど、ベトナム人であることを知りませんでした。白人だと思っていました。
キム・フックさんは1963年生まれなので、私と同じ年です。今は亡命してカナダに住んでいます。子供も孫もいます。でも、それまでは壮絶な人生です。
ナパーム弾というのが、東京大空襲でも使われた焼夷弾をさらに強力にしたとんでもないものであることも初めて知りました。
社会主義になったベトナム国家がキム・フックさんをプロパガンダとして利用したことも酷いです。
私がベトナムに行った1995年当時、カントーの街で知り合った「ボウ」さんはカナダ国籍を持つ亡命ベトナム人でした。そんなことも思い起こしました。
300ページ近い本ですが、一気に読んでしまいました。
『その本は』 又吉直樹・ヨシタケシンスケ 著 ポプラ社2022☆☆☆余
千夜一夜物語の様な構成で、不思議な本でした。第7夜の交換絵日記の話が一番胸に響きました。