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『下山の哲学』

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『下山の哲学』 竹内洋岳 著 太郎次郎社2020☆☆☆☆☆小
 日本人で唯一の14サミッターである竹内さん。以前、彼のブログか何かを読んでいて、少し上から目線で鼻に付くと思っていましたが、この本を読んで彼に対する見方が変わりました。

 そもそも8000m14座を全て登頂することはすごく難しいことだと思います。道半ばで事故で亡くなったすぐれた登山家が何人もいたことも知りました。

 彼自身も、10座目のガッシャーブルムⅡ峰で大きな雪崩に巻き込まれ、背骨や肋骨6本が折れ帰国しています。しかし、早々にリハビリを行い、翌年に同じ山の登頂に成功しています。驚異的です。

 その一方で、時折、ものすごく慎重です。一番驚いたのは、13座目のチョ・オユー下山時、パートナーとはぐれ、幻影を見ながら間違ったルートを降りてしまったらしいことに気づいた時、横にトラバースしてルートを探すのではなく頂上付近まで完全に登り返して、その途中で日が暮れ、間違ったところから正しいルートを探し始め、真っ暗な中正しいルートにたどり着いたという話です。本人は淡々と書いていますが、8000m峰に軽装備で食料もほとんど無い状態で登頂を果たして疲れ果てている状況の中で登り返してルートファインディングが出来るというのは驚愕です。精神力にも体力にも常に少しだけ余力を残しているという事です。

 「下山の哲学」というタイトルが、読み終わってずっしりと重く私自身にのしかかりました。