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『平家物語の怪』

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平家物語の怪 能で読み解く源平盛衰記井沢元彦 著 世界文化社2011☆☆☆☆倶

 崇徳天皇の「松山天狗」、義経を育てた「鞍馬天狗」、「俊寛」、「巴」、「屋島」、「二人静」、「安宅」、「大原御幸」など12のテーマの平家物語に関する能を井沢さんが解説している本です。

 井沢さんの本は、以前「逆説の日本史」シリーズを読んで面白いと思っていました。

 この本は2つの点で凄いと思いました。一つは、平家物語をこういう角度からとらえる事が出来るのかという点です。もう一つは、「能」というものを一度は見ても良いかなという気持ちになるほど、能の解説書としてわかりやすかった点です。

 怨念と仏教の無常観が背景としてしっかりとらえられています。また、清盛が武士の代表として政権を手にしながら、新しい武士のシステムを構築できずに藤原氏の真似をしてしまうことで平家が没落するのに対して、頼朝が朝廷から任命権を奪う新しいシステムを構築していった点、義経がその途中で後白河法皇から判官の位をもらってしまうことが頼朝にとって(新しい政治体制にとって)どれくらい足を引っ張る行為だったか。その新しいシステムは、結局結果として最初に出てくる崇徳天皇(松山天狗)の恨みに基づいているという説に、なるほどと納得してしまいました。

 Uチューブで能の「俊寛」を見てみましたが、わかっていてもスローモーで、飛ばし飛ばししてしまいました。でも、以前よりは能に親近感を持つようになりました。