『漂流』 角幡唯介 著 新潮社2016☆☆☆☆京
しかし、単なる一つの漂流事件だけではなく、佐良浜漁師がもっている海洋民族としての海に出てしか生きることの出来ない不思議な「文化」を追うことにもなります。
一つの漂流事件から、ここまで深く一集落の特性を浮かび上がらせる手法は流石です。しかもそれが宮古島のすぐ近くにあるなんて想像だにしていませんでした。
角幡さんの本としては、しかし、ぐいぐい引き込まれる部分が薄いです。彼の本は、『アグルーカの行方』にしても『空白の5マイル』にしても、彼自身が冒険をしている部分に最大の魅力があったのですが、この本では自分自身は冒険はしていません。その分、どうしても読むのに時間がかかってしまいました。