羊蹄・ニセコを走る、世界を走る?2

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『砂漠と鼠とあんかけ蕎麦』

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『砂漠と鼠とあんかけ蕎麦』 五味太郎・山折哲夫 対談 アスペクト2011☆☆☆☆

 五味太郎さんといえば絵本『みんなうんち』をすぐに連想してしまうのですが、この対談はなかなか面白かったです。冒頭に、司馬遼太郎の「神道とはどういう宗教なんですか」という問に宗教学者の山折先生が「あれは宗教ではありませんから」と答えるところから始まります。

 話題は宗教を中心にあちこち飛ぶのですが、なるほどと思うことが多く、新しい視点をもてました。一神教多神教多神教の中でも、日本のは「目に見えない多神教」だとか。「殺すな」から「命を大切に」への堕落だとか。海を見ることによって思想が深化をした親鸞最澄空海らと海を見ていないブッダとの比較だとか。道元デカルトは実は同じかもしれないとか。ヨーロッパの歴史はギリシャで一度中断されて(キリスト教により)、そのギリシャは理性的でエロティックで生命を賛歌しているとか。

 一番感動したのは、トルストイの「戦争と平和」は無常観のスラブ的表現で「平家物語」に匹敵するという記述でした。